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“被災者とボランティア”から“人と人”の関係になれる時間が地域を変える

“イマ、ココプロジェクト”は石巻の漁師の方の家にホームステイして「浜」ならではのくらしを楽しみながら仕事のお手伝いをするプログラム。1週間近く活動するため、1週間を終えて多くの気づきを得て返ってくる参加者の学生さんを運営のわたしたちは多く見てきました。では一方、現地は今どうなっているのか?今回は直接「ピースボートセンターいしのまき」に行って運営メンバーがお話を伺ってきました! 2014.12.13

プロフィール

イマ、ココプロジェクト 山元崇央

通称“やまげん”のあだ名で親しまれている。 北海道出身。大学を卒業後オーストラリアに留学し、その後10年以上ピースボートのスタッフとして寄港地プログラムのコーディネーターとして働くが、震災を機に「ピースボート災害ボランティアセンター」の現地コーディネーターに転職。これまでに培った経験を活かし、石巻の新しい地域づくりのため、日々邁進している。

<インタビューアの紹介>

のぶさんの紹介

地元の人たちが自発的に
震災後の新たな地域のあり方を考えていける機会を作る


早速ですが、石巻の抱えている現状の課題ってなんでしょう?

どこの地方都市もそうだと思うんですが、そもそも震災前から人口減少がずっと続いていて後継者不足などに悩んでいるところが多いんですよね。僕らがこのプロジェクトを通してやりたいことっていうのは、震災を契機に「地元の方々が地域外の方々との協働を通じて震災後の新たな地域のあり方を創り出す」というところにあるんです。

僕らが「イマ、ココ プロジェクト。」を進めている石巻の漁村部はもともと閉鎖的なところがあった地域でしたが、発災直後から本当にたくさんのボランティアが一気に地域に入っていきました。当時のボランティア活動の優先順位はとにかく効率を求めていたこともあり、地元の方とのつながりという点では結構浅いところで止まってしまう方も多かったのでないでしょうか。

もちろん中には戻ってくる人もいるんですけど、一部のそういった方を除くとその比率は低かったのではないかと感じています。あれから4年が過ぎようとしているこの地域で、震災をきっかけとして出来た地域外の方々との繋がりにどうやって継続性を持たせていくことが出来るのか、そしてその繋がりの中からどのような変化を地域にもたらし、どうやって双方に具体的な成果を紡ぎ出していけるのか。

外から来る人と地域の人をつなぐ深いつながり作りを個人の力に頼るだけでなく枠組みとして創り出していくことで、そうした動きをエンパワーメントすることができるのではないかと考えています。僕たちがこのプロジェクトを始めてもうすぐ2年が経過しようとしていますが、そうした個と個の間に生まれた深度のある繋がりから生まれた成果は参加者にとっても大きな力となっています。プロジェクト参加後も遊びに、バイトに、大学生活に、つながりを活かして自分の仕事にと、プロジェクトの枠組みを超えて形を変えて色々なところに芽生えはじめてきました。

震災前から人口減少の続いていたこの地域では、震災がきっかけとなりそういった地域課題が5~10年先に一気に加速させられたような格好になってしまいました。高台移転の宅地造成が少しずつ進み始めた浜を歩いていると「わけすだつはまちにいなかたてるんでねの(若い人たちは街中に家を建てるんじゃないかな)」なんていう声も聞こえて来ます。

このまま時間だけが流れていってしまうと、更に人口が減り、地域でのくらしのあり方の単一化が進んで限界集落化していってしまうのでは?ここから15年後、20年後…と考えると、これらの地域ってどうなってしまうんだろう?そういう危機感に対しての取り組みなんですよ。ここが最も大きな課題だと思ってるんです。

外からの人が地元の人と深くコミットすることが出来るこうした枠組みを設けることによって、これまでその地域の力だけでは出なかったアイデアが生み出されたり、もとからあった地域の価値が再び見いだされていく。地元が大事にしていきたい物を地域の人が守っていきながら、その外とのつながりの中で新しい地域の形を模索していくことができるんではないかと思うんです。単純に地域の姿を震災前の姿に戻すのではなく、外の力を借りながら地域の人たちが主導して地域のくらしのあり方に新たな多様性をもたらす。そんな地域の姿を全国に発信したいですね。

“被災者”である以前に“人”だとわかる
“ボランティア”である以前に“人”だとわかることが大事


なるほど。それから、イマ、ココプロジェクトの対象者である浜の漁師さんと地域の方々に、学生ボランティアの受け入れをしたことでの変化はありましたか?

あります。けど、それってほんとに小さな事の積み重ねなんですよね。
学生の受け入れをしたことが自分たちの描く将来へのプロセスの一つになっているということなんですけど、1日で帰るのではなく1週間そこに泊まり込むことで、お互いに良いとこ悪いとこが見えてくるんですよね。特に発災直後なんかは、「ボランティアってなに?」という方も多かったですし、「超元気でなんでもやってくれる人」でしかなかった。効率性だけを求めるだけではない時間の進み方の中で、お互いのことをよく知れるというか、関係性の壁を超えるというか。

例えば、もちろん人にもよりますけど漁師は浜の将来の事を真剣に考えていたり、仕事に対する姿勢がものすごくストイックなところがある。その一方で極端にだらしないところがあったりするんですよね(笑)。そういう姿を見ることで、その人がただ可哀想な人ではなくなりますよね。“被災者”っていうカテゴリではなく、一人の人とのつながりで、その人のバックグラウンドに被災というものがあって、そんなにめちゃくちゃ辛いことばかりでないし、めちゃくちゃ楽しいことばかりでもない。交流の中で、一緒に作業していく中で自分自身に重ねられる部分があったり、ずれがある部分だと思うんですよ。「あれっ?何か来る前にイメージしてたのとちょっとちがうな。」という心境の変化からできてくる双方向の関係性が、地元にとっても参加する方にとっても、より深いつながりを生むんですよ。

それから、役に立っているかどうかっていう点で言うと、浜の人からすれば、仕事も個人でできないこともないんです。ただお金や時間がかかるというのと、仕事に余裕がなくなってしまうので新しいことにトライできなくなりがちな現状があります。そのようなところに外から人が入って行くことで、その人の仕事に余裕がでてきたり、他のことに手が出せるようになったりするんです。こういった点においては、参加する方の中には「あんまり役に立ててないな」と感じることもあると思うんですけど、ボランティアを受け入れる方としてはすごく力になっているんですよね。

よそ者がコミュニケーションにおける潤滑油になっている

地域に対しては、例えば世代間であまりこういった交流がなかったり、コミュニケーションがなかったりする都市型に近い地域も多くなってきているんですが、そこに外から人がはいっていくことによって、少しずつ地域の姿が地味なスピードで変わってきている、ということがあると思うんです。例えば、「◯◯たちが来ているから一緒に飲もうか」みたいな会話ができて、そこにいろんな人たちが集まってきて、コミュニケーションができたりしているわけですよね。その小さな積み重ねが、自分たちの地域、個人に、どうプラスになるのか考えられるようになるんですよ。

例えばですけど牡蠣の養殖なんかも、今まで養殖をしている人からすると、自分たちがつくった牡蠣は浜で処理した剥き身を、漁協を介して販売されていくわけですよね。そうすると、漁協に入った時点で誰が作った牡蠣なのかなんていうのはもうさっぱりわからなくなっちゃうわけですよ。そういった中で、参加者に目の前で食べてもらって、「美味しい!」と食べてくれるとやっぱりうれしいですよね。モチベーションが上がるし、「もっと違う売り方があるんじゃないか」、「どうしたらおらほ(自分の所)の牡蠣をたべてもらえるか」っていう考え方が出てくると思うんですよ。

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2013年9月8日の日報より


外から人が来ることで自分たちのやっていることがどう見られているのかわかったり、良いところを再発見できたりするんですね。

そう、そこに価値があると思うんですよね。


さっきの“参加者からしたら役に立てなかったって思うかもしれないんですけど”というところで、以前参加者の方から、「雨で何もできなかった」って聞いたのを思い出しました。

変化が何かを失うことなのか

「天気の悪い日は仕事も休み」1週間の滞在となる参加者にとっては少し拍子抜けしますよね。でも、実はそれって漁師のいのちを守る事だし、その前日や翌日にその仕事が寄せられていたりしてるんですよね。

それも浜のくらしの一部だし、それが漁師の生業のあり方でもあるんですよね。そういったあり方が良いとか悪いとかでなくて、どこにどういう変化をもたせていくっていうのは、今まであったものをぶっこわして新しいものを作っていこうということでなく、今まであったものの上とか横にどういうものを積み重ねていくかっていうことだと思うんですよね。だからただただ「天気が悪い日に休んでいる漁業じゃダメだと思う」っていうんじゃなくて、“それがそもそも課題なのか?”“なんで天気が悪いと休みになるの?”“自分たちなら、どうやってこの課題を解決していけるのか”と自分たちの頭で考えて、当事者達と一緒にとにかく実践していくというのが必要だと思うんです。
プロジェクトに参加してくれた人たちが浜の中でももちろんそうなんだけど、自身がいる社会の中でも、どういう変化を自分たちの社会に起こしていけるへの挑戦につながるんじゃないかなと思っています。そういう具体的なつながりの中で僕自身も結果を残していきたいですね。


最後に、漁師さんから学生に向けてコメントがあればお願いします。

「浜の元気に会いに来い!」。

もっといろんな人たちに「心が震える瞬間」を体験しに来てほしいってことですね、やっぱり。受け入れ先の中には、じゃあ、高台移転する時に一部屋余計に作ろうという人もぽつぽつと出てきている。僕らみたいにイマココをやってる人が泊まれるような部屋を一部屋作ろうとしているんですよね。やっぱりそこに参加している個人では感じないかもしれないけど、プロジェクトを継続してきたことが参加した人たちの力で大きな力になってきていることを感じます。だからもう、何人でも来てください。(笑)20人なら20人分の受け入れ先を用意するし、そのくらいかける価値があると思っています。

山元さん、ありがとうございました!
外から来る若者に対して、これだけ懐の深い言葉をかけて頂けるのはありがたいですね。

最後に取材班と山元さんで集合写真をパシャリ。

集合写真

【写真】「ピースボートセンターいしのまき」にて

(中央)ゲスト:山元崇央さん、(左)レポーター:佐藤友基、(中央左)レポーター:河合信哉、(中央右)レポーター:宮木志穂、(右)ライター:長瀧彩花


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ライター:長瀧彩花

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