食材から手作り!安全・安心の家庭の味を提供したい

宮城県気仙沼のとある山奥の一軒家。ここが気仙沼のお弁当屋さん「VOARLUZ」の拠点だ。そして、代表の佐藤春佳さんの実家でもある。佐藤さんが震災を期に〝安全な食〟を求めて編み出した解決策は、「自分で一から作る」こと。現在実家の畑を活用して作った野菜やお米で、手作りのお弁当を作っている。野菜中心の優しい味は、子供からお年寄りまで幅広い世代に好評だ。トラックにお弁当を乗せて、今日も気仙沼の町を走り回る。 2014.11.30

プロフィール

VOARLUZ 佐藤春佳

気仙沼のお弁当屋さん「VOAR LUZ」の代表。東京へ上京していたが、震災を期に再び家族と実家の気仙沼で暮らし始めることを決める。2児の母として子育てをしながら、安心・安全な食べ物を届けるべく、慌ただしい日々を送っている。

原発の影響下で、自分自身何を食べて良いのか、
母として、子供に何を与えたら良いのかが、わからなかった。


ボアラズの活動を始めようと思ったきっかけは?

震災当初、食べるものがどこにも売ってなかった。買い物に行く足もない、ガソリンもない。さあどうするってなったときに、うちはご飯に困らなかった。
というのも、元々実家でじいちゃんが畑をやっていたからで、野菜もあるし米もあるし、備蓄とかも、それこそみそとかが結構あったんだよね。この量で家族(そのときは8人)がどれくらい過ごせるかっていうのをそのとき初めて計算したんだ。そしたら2ヶ月くらいいけたの。(笑)


わお!(笑)

そのときに、この畑を使わないのはもったいないという話になって。もしちゃんとやっていれば、今回みたいなときにもご近所にあげられるくらいの量が取れるしね。

しかも、震災前はほとんど東京にいて気づかなかったんだけど、またばあちゃん家で生活していて、ばーちゃん家の畑が小さいときと全然違う風景になっていることに気がついた。そのときに、これはもとにもどさないと、生態系も崩れるし、あんなに小さいときに遊んだところをこのままにしておく訳にはいかないと思った。

畑の風景

佐藤さんのおばあさんの家の畑の様子(2月)

で、「よし!農業やるぞ!」と意気込んだところで、ドッカン(=原発事故)でしょ。
 最初って電気が通ってなかったからラジオの音でしか情報がなくて、まあそんなにすごくないんだろうなって思ってた。テレビがつくまでに3週間くらい時間があったんだけど、その3週間後に映像を見るわけだよね。それで、「いやーこれはちょっとやばいだろう」と。あんなのが爆発したら確実にこの辺にも降ってきてるはずだし、「あれ、この3週間自分どうしてたっけ?」って。
あのときは放射能に関しての基準値もかなり曖昧だったんだよね。
当時の暫定基準値が500でしょ?500以下のものが市場に大量に出回ってたわけだ。(苦笑)

で、そうなると、何を食べていいのかが自分の中でわからなかったんだよね。やっぱり自分が母親なだけに、子供たちに与えるものをどうするかっていうのを考えたときに、選択肢がなかなか見つからなかった。で、だったらその選択肢の1つをわたしが作ったらいいんじゃないかって。その選択肢が欲しい人って必ずいると思うし、今後その放射能の問題って言うのは何年も続いていくものだから、その人たちが手軽に安全なものを買える状況を作らないと、何かあってからじゃ遅いからっていうことで始めたんだよね。


なるほど。ママだからこその視点ですね。

そうそうそう。子供がいなければねー全然わたし気にしてないと思う。(笑)
子供を産む前はものすごい不健康な生活をしていたから。だから子供が生まれてガラッと変わったというか、子供生んでなかったらまだ東京でのらりくらりと暮らしていたと思う。それ以外にもじいちゃんばあちゃんが年取って農業できなくなったりだとか、いろんな要因がつながってはじめたんだけどもね。
はじめてみるとまあ、なかなか思い通りにはいかず、大変ですよ。(笑)

赤ちゃんからお年寄りまで、
“薄味で野菜中心”の手作り弁当が好評

お弁当

2014年9月4日のお弁当メニュー

スクリーンショット 2014-11-24 16.28.38


現在のVOARLUZの活動は主に農業と、収穫した食材で作る手作り弁当の販売だとお聞きしています。なぜ、お弁当屋さんにしようと?

実は最初はお惣菜屋さんにしようと思ったんだよね。なぜかいうと、わたしがなかなか子供を見ながらご飯を作ったりするのが大変で、かつ気仙沼ってあんまりお惣菜屋さんとかがないから。あったとしても揚げ物とか、コッテコテのしかなくて…。なんとか野菜中心の食事をしたいって思っている人たちが結構いるから、実家の野菜の材料を使ってやればいいんじゃないのかって思ったんだ。自分のところで取って、加工して、販売してっていう流れは間違いなくスムーズだから、じゃあお惣菜かなーっていう。

今も、本当はお惣菜屋さんがやりたいんだけども、配達ってなるとやっぱりお弁当の注文が多いんだよね。お惣菜単品の注文っていうのは、まあ当然だなとは思うんだけど、なかなか需要がないから。
とりあえずはお弁当をやって、ゆくゆくはお惣菜屋さんにできればなと思ってる。


お弁当の売る先はだいたい決まっているんですか?

もとは仮設住宅で考えていたんだけど、いざやってみてわかったのが、お昼って仮設住宅の人は大体いないんだよね。おじいちゃんおばあちゃんとかはいるけど、みんなほとんど働きに出てるわけよ。ていうので、お昼は企業さん。で、仮設住宅には夜出来たらと思ってる。まだ願望だけど。やっぱり仕事終わった後に欲しいっていう人が結構いるからね。

あと、こないだ問い合わせが来て、これはどうにかしないといけないんじゃないかと思ったのが、高齢者で一人暮らしで病気の人の娘さんから連絡を頂いて、市の配食サービスとかもあるんだけど、なかなか毎日配達してくれるわけではないし、大変なんですよね、みたいな。だから佐藤さんのところでぜひ、あれだったらできませんかっていうので、この間そのおじいちゃんに会って話をしてきて、そしたらやっぱり、週に一回火曜日だけで、メニューも揚げ物とか普通のお弁当同様で、ご飯も固い。歯も弱くなってきているから食べにくいというのと、あとはやっぱり年金暮らしだから、なかなか毎日いくらっていう金額を出すのが難しいと。まあそりゃそうだよね〜っていう話をして。だけどそういう人って世の中にたくさんいるから、そこはちょっとね、なんとかできることならなんとかしたいなっていう、気持ち。


しゅ、週に一回ですか。謎ですね…。
さっきホワイトボードに離乳食のメニューらしきものを見たのですが、ボアラズのお弁当は赤ちゃんも食べれるんですか?

離乳食

加工場の入り口すぐにあるホワイトボード

食べれる食べれる。出汁もちゃんと取ってるやつだし、化学調味料使ってないから。作ったものを離乳食にするのはわりかし簡単なのよ。


なるほど、それは安心ですね。
買う人は大人の方が多いんですか?

うん、企業の人と、あとは役所関係とかかが高頻度かな。


何か言われて嬉しかったことはありますか?

結構、他のお弁当屋さんだと味が濃かったりとか、油こてこての唐揚げとかが多い中で、野菜中心で薄味のお弁当が嬉しいって言ってくれる方が多い。
結構、他から出向して来てる人が多くて、朝昼晩外食とか、朝昼晩お弁当とかで、すぐに食べたくなるらしいんだよね。なので、こういう手作り感と言うか、が喜んでもらえているのではないでしょうか。


VOARLUZは放射能測定器も使って安全性をチェックしていると伺っています。セシウムの数値って、数字だけ見ても安全なのかどうなのか、わたしは実際のところよくわからないのですが、もう少し一般の人向けにならないものでしょうか。

わからないよね。今ちょうどそれをわかりやすく見れるものっていうのを考えてるんだけど、なかなか難しい。それで最近放射能を研究している人とも会うんだけど、やっぱりやってる人たちって結構数字に強くて、わかっちゃうんだよね。データ収集が目的なことが多いから、わかりやすく書くって言うのがその人たちには分野外なところだと思うんだわ。私はあんまり数字強くないから、いかにそれをわかりやすく、伝えやすくするかっていうのをやりたい。


出来たらかなり助かる人が増えそうですね。


最後に、学生ボランティアが来た前と後で変化はありますか?

んー、でもやっぱり若い子たちが入ることによって活気が出るというか、それは絶対あると思うし、やっぱり普段見ている視点が人に寄って全然違うから新たな発見があって面白い。


へ〜!例えばどんな発見ですか?

例えば、田んぼの形。わたしは小さい頃からあの田んぼの形を見慣れているから気づかなかったけど、真四角の田んぼしか見たことがなかった子が「こんな田んぼの形あるんですねー!」って感動していたり、あとは野菜がこんな風になってるんだ、っていう発見があったりとか。


都会にいると野菜が出来るまでのプロセスとか普段見ないですからね〜。

そうそう。農業に携わったことのないシティーガールが多かったけど、そういう子たちが来てくれて、うちをおばあちゃん家に来たみたいだって喜んでくれたことが嬉しい。ばあちゃんたちも喜んでるしね。(笑)

行って終わりじゃなくて、「またVOARLUZ行ってきたよ!」っていう形で関わってくれる子が増えるといいなと思う。

1人のパワフルママの行動によって、気仙沼の人の救いとも言える1つの「安全な食」の選択肢ができました。こうした消費者の“食べる”という営みへの不安を解消することは、“風評被害”などの問題を解消することにもつながりそうですね。
VOARLUZの活動は、今日も気仙沼の活力となって町の人たちの生活を支えています。

VOAR LUZをもっと知りたい方は公式HPをご覧下さい♪


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ライター:長瀧彩花

追記:

お弁当の配達事業は人員不足のため、2014年12月22日をもって一時休業するとのご報告がありました。
今後は、農業・加工食品・雑貨の製造販売を中心に行っていく方針とのこと。

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