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所詮“よそ者”、されど“よそ者”。

我らが事務局長、安井美貴子さん。1年生の9月からYouth for 3.11に所属しています。彼女が経験した3.11は空の上でのことでした。あれから4年、卒業を前に、団体と共に歩んだ学生生活を振り返って何を思うのか、お話を伺いました。 2015.01.01

プロフィール

Youth for 3.11運営紹介Vol.2|安井美貴子

慶應義塾大学で社会学を専攻する4年生。運営内での愛称は「みっこ」。大学1年秋(2011年9月)団体に加入し、2年弱、ボランティアプログラムの参加者窓口を担当。大学3年から運営事務局長を務め、2年近く代表と二人三脚で団体を先導し、支えてきた。笑顔がすてきな人見知り。

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東北へ行くことで「よそ者」感覚から抜け出したかった


震災当日は何をしていましたか?

実はわたし、家族旅行で海外に向かう飛行機の中にいたんです。だから、東日本大震災当時、東京に暮らすひとびとが感じた揺れさえ感じていない。外国の言葉で伝えられる日本のニュースを見て、実状が見えないからこその不安を感じていたのはもちろんなのですが、それ以上に覚えているのは、日本全体に対する疎外感。「揺れがこわかった」「こんなときこそ絆が大事」と、数日前、高校の卒業式の場で別れた同級生が、mixiでつぶやいているのを見て、「あー、わたし部外者だな」なんて感じていました。
短い海外旅行ではありましたが、帰国した後もその感覚は続いていて。こんなことを言ったら怒られてしまいそうですが、3.11当日、多くの日本人が抱いたのと同じ感覚を感じたくて。もやもやした想いを解消する道はないかと、大学1年の夏、思いきって東北に行ってみたんです。


実際に行ってみてどうでしたか。

中高時代は部活に情熱を捧げてきた典型的な青春時代だったので、そのときがはじめてのボランティア活動だったのですが、非日常での暮らしやルールに揉まれて、訳も分からずあっという間に帰ってきました。同時に、地元住民の方や、震災直後から地域に入っていたボランティアの方々と接したことで、逆に自分に無力さを感じて、しばらく落ち込みましたね。いま考えるととても傲慢なことですが、わたしも現地滞在を繰り返すことで、そのコミュニティに少しでも自分の居場所が欲しいと感じました。いまでも脳みそにべったり貼りついている当時の光景は、あまりに衝撃的で。ただ、我が家は両親が厳しく、長期間家をあけることができなかったので、東京に居ながら、現地から持ち帰ったもやもやを少しでも解消したくて、Youth for 3.11への加入を決めました。

消えない“よそ者”感覚


活動を続けるなかで、何か変わっていきましたか。

団体の中で自分の役割ができるにつれて、やりたいことや興味の対象はぐんぐん広がっていきました。Youth for 3.11の外でもさまざまな形で東北という地域に関わる機会を増やしたり、そこから興味を持った他県の地域振興、さらには国際開発まで。一度関わった機会は、すべて自分事化したくなってしまう性格のため、毎日てんやわんやな生活を送っていました。どこかで自分の存在意義を認めてもらいたくて、じたばたと、一見忙しい日々ではありましたが、次第に気付きはじめたのが、「どこで何をしても、自分はよそ者だ」ということ。Youth for 3.11の活動の中で、現地のことを考えていた時間は決して少なくはなかったと思いますが、たまに東北をボランティア活動で訪れても、よそ者である自分の無力感を痛いほど感じるだけで、行くたびに下を向いて帰ってきていました。


その感覚って今も持っているんですか。

最終的に、「よそ者はよそ者としての役割がある」と考えるようになりました。大学2年の頃、どこに行ってもよそ者でしかない自分があまりに虚しくて、どこでもいいから「中のひと」として受け入れられたいという想いをぶつけたのが、石川県七尾市のとある会社でのインターンシップでした。そこで、既存のプロジェクトの改善のため、地域住民の元をヒアリングしてまわっていたとき、「あんたみたいな若いよそ者に何ができるの?」と言われたんです。それってまさにわたしがその地域に入った理由でもあったので、何も言い返せなくなってしまって、会社に直帰してトイレにこもって静かに大泣きしました(笑)。ただ、滞在する中で、よそから来た人間だからこそ持てる視点があることにも気付くようになりました。「よそ者にもよそ者として、地域に入る意義ってあるんだな」と。それからは、肩ひじ張らずに過ごせるようになりました。東京に帰着後、Youth for 3.11のボランティアプログラムを考える際も、「よそ者が行くからこそ果たせる意義」にこだわるようになりました。

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思い切って乗り込んだ七尾滞在中


なるほど。色々もがきながらもYouth for 3.11での活動を続けてきたんですね。そのモチベーションはどこにあったのですか。

それが、わたしもよく分からないんです(笑)。さまざまなことに問題意識を持てる環境なので、新しい知識や経験を求めて続けてきたというのも1つあります。でも、その時々によってモチベーションの源泉はさまざまですね。尊敬する先輩の背中が見られる環境や、自分自身の成長、純粋に楽しさを感じて取り組んできたこともありましたし。クラウドファンディングに挑戦したときは、共に取り組んだ運営スタッフの存在や、応援していただいた方からのメッセージがモチベーションになっていました。


「活動を続ける理由」って、結構難しい問いですよね。

そう思います。何でも意味付けをしなければならない雰囲気があるじゃないですか。ゼミの先生に指摘されて納得したことなのですが、たとえば小学校や中学校のとき「あなたの夢は何ですか?」と聞かれましたよね。心からなりたいものがある場合は別として、大抵の場合は曖昧な像しかないと思うんです。それでも明確なイメージを求められ続けるから、いつの間にか自分のキャラクターと照らし合わせて、自分にとっての最適解を抱くようになっていく。気付けば、それがまるで心の底から出た答えであるかのように語れるようになっている。活動を続ける理由も同じで、わたしだけでなく、「何だかよく分からないけれど、続けている」っていうひと多いと思うんです。それでも、さまざまな場面で「理由」を求められるから、何らかの意味を持ったストーリーを含んだ回答を用意している。分からなければそれはそれでいいと思います。自分が目指したい像があるなら、それを叶えられる環境を選べばいいし、組織や活動そのものに貢献したい想いが強いなら、とことんそれに時間を費やせばいい。嫌がるひとは多いとは思いますが、必要性を感じるならば、わたしは就職活動のために所属しつづけるのもいいんじゃないかと。

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Youth×東災ボプログラム現地事務局・参加者の皆様と

知らないことも、いったん受け入れてみる


そうなんですね。逆に、団体の活動を続けるからこそ気を付けていたことなど何かありましたか。

団体に限った話ではないですが、タイプの異なる相手にラベリングをして、偏った見方をしないように、気を付けたいとは思っていました。
「ボランティアってやっぱりダサい」「意識高い系の人間がするものだ」と思って食わず嫌いしているひとは、是非1度気軽な気持ちで参加してみればいいと思います。大学4年間、1,460日あるうちのたった1週間を別のことに費やすくらい、たとえその時間を後悔したとしてもどうってことないはず。逆に、がつがつさまざまな活動に挑戦していて、関わった学生団体数や成功したイベント数に誇りを持っているようなひとも、「学生時代にバイトやサークルばかりのひとは人生勿体ないと思う」とばかり語っていないで、そうでないひとの声に耳を傾けてみたら、と。同質のコミュニティでわいわいがやがやするのも楽しいけれど、結局これまで手の届かなかった層を巻き込むことで、初めて団体全体として一歩先のステップに進める場合もあると思う。どちらも自戒を込めてですが。

生き方の選択肢を広げる1つの手段として


では最後に。安井さんにとって「ボランティア」とは何ですか。

ボランティア派遣を行う団体に所属するわたしが言うのもあれですが、たまに現地ボランティアに参加すると、毎度毎度沈んだ気分を抱えて現地を出ることが多くて、正直ボランティア活動ってあまり好きではなかったんです。ただ、それって「良いことをしに行こう」という感覚を強く持ちすぎていたからだと思います。肩肘はらずに、自分の見たいものを見る・知りたいことを知る機会にすれば、こんなに視野を広げてくれる活動ってなかなかない。「ボランティア」という言葉に持つイメージはひとそれぞれあると思うし、ネガティブなイメージを持っているひとも少なくないはず。ただ、そんなことでせっかくの機会を逃すのは勿体ないと思う。生き方の選択肢を広げる一手段として、ぜひ気軽に参加してみたらいいと思います。わたしのように大学4年間もやもやと考えることになるかもしれませんが(笑)、それによってまた見えることもあると思うのです。

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大学時代の大半をボランティア活動をしながら過ごしてきても、あるいは深く関わってきたからこそ、余計に答えはそう簡単に出せないのかもしれません。安井さんと同じように、自分自身が関わっている“ボランティア”や“ボランティアの置かれている状況”と葛藤しながら、それでもきっと何かに惹かれて活動をしている人は意外に多いのではないでしょうか。

安井さん、ありがとうございました!


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ライター:長瀧彩花

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