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震災前からの田舎のしがらみがなくなって、 誰もがやりたいことをやりたいようにできる場所になってほしい。

気仙沼で若者向けに古着のフリーマーケット「Local Closs Market」を開催するバンドマン、志田淳さん。自身も気仙沼出身で、高校卒業後、同級生と一緒に東京に上京。大学生活の傍らバンド活動に打ち込んでいた大学1年の春、震災が起こりました。荒れ果てた故郷を見て、「自分ならではのアプローチで、復興に携わりたい」と動き始めました。アートプロジェクト、フリーマーケット、イベントのプロデュースなど、活動は多岐に渡ります。そんな志田さんが、思い描く気仙沼の未来とは…? 2014.03.10

プロフィール

Local Cross Market|志田淳

宮城県気仙沼市出身。 高校卒業後、東京の麻布大学に進学。現在大学4年生。 高校時代の同級生たちとロックバンドthe Revaizを結成し、ギターボーカルとして活躍中。 東日本大震災により実家を失い、関東と被災地での異常な温度差に危機感を感じたことを期に東北に関わり始める。 現在は気仙沼で不定期に古着を集めたフリーマーケット「Local Cross Market」を開催しながら、派生したオリジナルアパレルブランド「memento mori」のオーナーを務める。

「あの光景を、消える前に残したかった。」


すごくアクティブに活動されてますが、いつごろから始めたんですか?

色々やり始めたのは、震災から半年くらい経ってから。でどんどん増えてった感じ。 2011年の9月くらいに「WA-Chord Project」っていうアートプロジェクトを始めたのがきっかけ。



アートプロジェクト!具体的にどんなことを?

最初に1回写真展の開催を開催して、あとはショートムービー作ってたりとかがメイン。



これはなんでやろうと思ったんですか?

残したかった。片付く前に。メディアが入れないような建物の中を使って作品としてショートムービーを作成した場所のほとんどは、今はもう更地になってるから、資料としては貴重だと思う。


作品はどのくらい作られたんですか?

今のところ3本。1個目はダイガク.TVとコラボして震災1年目に発表して、2個目は2年目に発表した。そしてつい最近、3本目を作成したところ。


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気仙沼に若者向けの“オシャレな古着屋”を作りたい



「WA- Chord Project」の次は何を?

次がLocal Cross Market(略称:LCM)。アショカユースベンチャープログラムっていうのに参加して始めたイベント。



Local Cross Marketは具体的にどんなことをするんですか?

全国の若者から古着を集めて気仙沼で販売するっていうフリーマーケットみたいなもの。気仙沼って震災前から若者向けの服屋が少なくて、あんまり服を買う場所がなかったから、オシャレしたい気仙沼の高校生向けに古着屋をやることを思いついた。支援したくても距離があって行けないがたくさんいるから、その人たちから服をもらうことでつなげたって感じ。不定期な開催だけど、今のところ3回やっていて、また4月にやる予定。



志田さんが高校生のときも、服屋もっと欲しいなって思ってました?

うん。思ってた。そういうことそういうこと(笑)



だから高校生向けっていうのも、理由としてはあるんですか?

そうそう。だから値段も安くして、Tシャツ500円とかで売ってる。


LCM2

2013年5月に開催した「Local Cross Market」の様子



これはいつごろから始めたんですか?

初めてやったのは2012年の12月。



どのくらい人は来ていますか?

数えたことないけど毎回100人くらいは来てると思う。おばちゃんとかも来るし。


おばちゃんも来るんですか?

うん、結構来るよ。 ガラス張りの建物の一階だから見えるんだよね。で、普通に入ってきてくれる。



なるほど、結構好評なんですね! また別で「memento mori」というのもやっているとのことですが、これも服飾系ですね。

memento mori




memento moriはLCMの際に自分が作ってたオリジナルの商品をブランドにしたもの。だからまたちょっと経路が違うんだけどね。 これまではTシャツが主だったけど、今キャンドルとか、アクセサリーも作っているところ。


memento mori
「死を想え。」
裏を返せば”今を生きる”ということ。
死生観を込めた日本発アパレルブランド。




2016年までに気仙沼に店を出す



本当に自然にやりたいことが派生してきた感じなんですね。 でも、こんなにすんなりやりたいと思ったことを実現できてるのがすごい

逆に言うと、やりたいことにしか興味がないからなんだよね(笑)



おお(笑)

震災直後にボランティアも行ったんだけど、行った時に、別にこれ、俺じゃなくてもできるなって思った。そこから俺にしかできないことをやろうって決めて、興味のあることをカタチにしてきたって感じ。



何か、まだ構想はあるんですか?

いや、基本的には今のあるものをブラッシュアップしていこうと思ってる。 それこそ震災から時間が経ってきてるから、今やってるものをいかに継続していけるかがこれから考えなきゃいけないところかな。



そういえば志田さん4年生ですよね。卒業後はどうされるんですか?

仙台を拠点に、LCMを本格的にやっていく予定。気仙沼とか、石巻とか。 形体的には「memento mori」が会社になって、その中の事業としてLCMをやっていく位置付けになると思うけどね。



てことは、本職になさるんですね!

そう!



LCMを本業にしようと決めるまでに、他のものを選択肢として考えたことは?

ないかな。今やってることがやりがいがあるから、続けたいなって。



では、就活とかは全く?

してない。自分がスーツ着てタイムカード押してる姿が想像できなかったから。(笑)



(笑)

起業って、やっぱり失敗するかもしれない少し怖さみたいなのがあると思うんですけど、その辺はどうですか?

全然ある(笑) でもやらなきゃわからないから、やって駄目だったら違うことを考えればいい。全力でやれば失敗してもかならず経験としてプラスにはなるから、いつも全力でやってアプローチしていきたいと思ってる。



カッコイイですね。やっぱりまずは無難に企業行こうって人が多いのに。

それも一つの正解だと思う。何に魅力を感じるかは人によって違うから。



好きなことを仕事にできたら楽しいですよね。いいなあ。

大変だけどね、その分。(笑)



そうですよね。誰かと一緒にやるんですか?

サポートしてくれる友達はいるけど、基本的には俺がやりたいことを手伝ってくれるってかんじだから、基本は俺一人かな。



なるほど、ほんとに志田プロデュースなんですね。

そうそう(笑)



最終的な目標はすでにあるんですか?

2016年までに気仙沼に店を出すっていうのが1つの目標ではある。今はイベントベースだから。楽器屋もないしCD屋もないから、それと合わせて服も売るようなセレクトショップを出そうと思ってる。



なるほど、志田さんの好きなものが詰まったお店になりそうですね。面白い!

結構復興関係やってる人って、地元の人が少ないから、無意識に良いことやろうとしている気がするんだよね。 俺はもともとがここの出身だから、その必要もないし、だから何でもできるんだとは思う。 震災が起こったのがもし自分のゆかりのない街だったら、こんなこと言えてないし、できてないと思う。



確かに、自分の地元と他の地域では、感覚が違いますね。


しがらみを捨てて、柔軟性のある場所になってほしい



本題なんですけど、志田さんの描く「東北の未来」について伺ってもいいですか?

気仙沼で言えば、「やりたいことができる場所」になってほしいなって思う。 例えば、仕事がないなら働く場所を作ればいいと思うし、ないものは自分達のやる気さえあればどんどん作っていける風潮になればもっと面白い街になる気がしてる。

やりたいことができないってすごく苦痛だよね。すべてが叶うかどうかはわからないけど、やりたいって思うことがすぐカタチになるような、柔軟性のある場所になってほしい。“しがらみ”が強いから。



“しがらみ”というのは…?

考えが保守的で、新しいものを嫌う地域柄なんだよね。そういうのを壊していきたい。



それは、震災後からですか?

いや、震災前からずっと。田舎だから。



そうなんだ。若者流出が叫ばれていますが、ほんとに自分たちの町で自分たちのやりたいことができるようになったら、外に出て行かなくても良くなるかもしれないですね。

うん、ただこれは俺が外に出て学んだことだから、何とも言えないんだけどね…。 出ることが悪いこととは思わないけど、「人がいない」って嘆くんだったら、人をとどめる努力をすればいいのに…と思う。



どうしたらもっと地元の人たちが自分たちでやりたいことを始められると思いますか?

なんだろうね。自分でやりたいことをやってる人が近くにいることかな。

俺なんかは成績が良かったわけでもなんでもないから、「あいつにできるんだったら俺もできるな」くらいに思ってくれたらありがたい。

受け入れてもらえないかもしれないけど、保守的な地域の中では、常に批判される立場であっても構わないと思ってる。



批判されるのって結構しんどいなって思うんですけど、平気なんですか?

んー、でも俺は好きなことやってるからね。



いやー、強いですね。

(笑)

「風化して忘れ去られることが復興」だと思う



志田さんにとって、“復興”ってなんだと思いますか?

極論なんだけど、「風化して忘れ去られることが復興」だと思ってる。 そういえばそんなことあったなって思われるくらいの時代がくればいいなと思う。



なんだか新鮮な答えです。

“風化させないように”っていうのはよく聞くけど、忘れなかったら何ができるかなっていうのを考えると、俺はあんまり浮かばない。普通の、ただの観光地になればいいと思う。

震災の跡は、俺らが残そうとしなくても残る。それに、“忘れない”ってすごく個人的なことだから、そこにあまり意味はないと思うんだよね。 神戸の東遊園地ってところには阪神淡路のモニュメントとかいっぱいあるけど、あれも観光地だし、そういう風になればいいと思う。

かといって今すぐにってわけじゃないから、これはもう少し先の話だけど。

時間が経って、やれることが少なくなってるから、現地の人が何か困ってて、そこにアクションを起こしたいと思う人は起こせばいいと思う。



やはり、志田さんの根っこには「被災地」というより「地元」としての感覚が強くある気がします。

そうだね。俺にとっては気仙沼は“被災地”ではなく、“ふるさと”だから。






気仙沼の風景

 

この土地で育ったからこそわかる、若者が欲しているものや、地域に根付く矛盾への違和感。こうした肌感覚は、非常に的を射ている気がします。自分の好きな町でやりたいことを受け入れてもらえる風潮になったら、もっと若い人が活躍しやすくなるかもしれません。志田淳という先駆者に、今後も注目です!


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