目の前の人と同じ目線でいたい

3月は出会いと別れの季節…。今回は、2015度代表を務めた永田和奈さんに卒業にあたってインタビューをお願いしました。高校2年生の春に震災を経験してから現在まで東北に関わり続けてきた彼女が今思うこととは…? 2016.03.31

プロフィール

Youth for 3.11 代表|永田和奈

2015年度Youth for 3.11代表。お茶の水女子大学4年生。プログラムチームとして2年間プログラムの企画や学生への研修・振り返り研修を経験後、2015年に代表へ就任。


永田さんにとって2011年3月11日はどんな日でしたか?

震災が起こった時にわたしは高3になる直前の春でした。その時わたしは埼玉に住んでいて、5強くらい揺れたかな。わたしは自転車通学だったので帰れたんですが、家に帰ってテレビを付けたら、家が津波で流されている映像が飛び込んできて。そんなに大きいことが起こったと思ってなかったので、「え…!」って。津波で何もかもが流されてしまっているのを見て、人間が作ったものってほんとうに弱いんだなって思いました。

その他にも、家にCDや本が散らばっていたり、計画停電があったり、衝撃なことが多くて…。近くのスーパーでも買占めが起こって、普段21時、22時まで空いている所が16 時頃に閉まったり、「何事だ!」という感じでした。その時、「普通に当たり前に過ごしていた生活が当たり前じゃないんだ」ということに気づかされて。

「こんな大惨事が起こったんなら一回自分の目で見なきゃいけない」と強く感じて、ただその時はちょうど受験だったので、1年後の2012年の3月に初めて東北に行きました。

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少しずつ思い出しながら語り出す永田さん

ボランティアは「素の自分でいられる場」だった


実際に行ってみてどうでしたか?

大槌町に4日間滞在したんですが、ほぼ更地になっていて「何もない」という景色にまず衝撃を受けました。もう1つは良い方の衝撃で、ボランティアという場が予想以上に温かかったんです。それまでボランティアに自分から進んでいったことがなかったんですよ、わたし。なのでその時が初めてのボランティアだったんですが、なんだろう、「素の自分でいられる場」だなって思って。その時は理由がわからなかったんですが、後々考えたときに、あの場には自分が「やりたい!」って思っている人が集まっていて、すごく良い空気が流れていたなと。「いかに相手のことを思って行動できるか」とか、「いかにその場にいる人たちで協力して活動できるか」とか、みんなすごく考えているんですよね、自分の頭で。そういうのって、中学校や高校のように机の上でばかり勉強して、部活もやって、っていうところでは学べななかったので、いつもと違う頭を使ってるな、って。それがすごく心地良いし、こういう場は必要だと思いました。

Youth for 3.11との出会い

その時は東京でも何かしら関わりたいなって思いながら帰ってきたんですが、結局Youthに入ったのはその年の11月くらいでした。

(入学後)新歓の嵐に巻き込まれちゃって(笑)。歌うことが好きだったので早稲田のアカペラサークルに入りました。毎日忙しく歌ったり、飲み会したりしているのもしばらくは良かったんですが、ふと、「あれ、私なにしているんだろう」っていう瞬間があって。「楽しいけど、なんか足りない…」って思っていました。大学の授業もあまりおもしろいと思わなくて、せっかく大学に入ったのに頭を使う場所がそんなにないなって。

そんな時期に、「そういえばわたし、東北の復興支援に携わりたいんだった!」っていうことを思い出したんです。最初は色々なボランティア団体を覗いてみたんですが、いまいちパッとしないなと思っていたときに、たまたま「Youth for 3.11」という団体名を人づてに聞いて、見学に行ってみたら、直感で「ここだ!」ってなりましたね。

「わたしのやっていることは本当に東北の役に立っているのか」という迷い


活動する中で「何でこんなことしてるんだろう?」って思ったことはありましたか?

ありました(笑)。

Youth for 3.11に入って最初の頃は、自分の担当するものでいっぱいいっぱいで。パソコンの業務が多かったので、自然とそのパソコンの先にいる人の顔が見えなくなってきて、「なんで自分は東北に携わりたくてやっているのにずっとパソコンやっているんだろう」って思ったり、リフレクション(活動後の振り返り研修)をやっていても、「一回のボランティアで何が変わるんだ」って思っている参加者の学生さんもいるので、すごく考えさせられました。

自分でも実際にボランティアに行く中で、「こんなにガレキの山があって、でも自分はこれだけしか拾えなくて、これが何の役に立つのか」「その日一日おばあちゃんと話しただけで何の役に立つのか」ってすごくモヤモヤしていました。


どうやって乗り越えたんですか?

Youth以外の立場から東北支援に携わっているいろんな人たちと接したことがきっかけだったかもしれません。

このままじゃだめだなって思って、人と話してみることにしたんです。ほかの地域で活動するボランティア団体の人だったり。色々な人と話していくうちに、団体によって役割が全然違うなって思って。例えば、陸前高田の地域に入って活動をしている人であれば、陸前高田のためにやっています。でも私たちは1つの地域だけでなくて、いろんな地域に対して学生を送ること、学生に対してボランティアのハードルを下げることが強みで、その一回がどうこうではなく、送り続けることに意味があるって気づいたんです。例えば同じ地域に1年で100人くらい送ったら、一人では小さいかもしれませんが、100人送れば実は大きな力になっている。1つの点で見るのではなく、線でつながって、離れて見たときにようやく大きな力になっているのではないかと思います。

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「Youth×若興人の家」プログラムにて、地元の高校生と(2015年2月)

同じ目線で向き合うことの大切さを知った


Youth for 3.11に入って成長したと思うところはありますか?

あります!!ざっくりしていますが、人との接し方とかは結構変わったかなと。

わたしは代表を務める前はプログラムチーム(Youth for 3.11の参加者へのプログラム企画、研修、リフレクション等を務めるチーム)にいたんですが、研修などで初めてあう学生と積極的に打ち解けて、わかりやすく説明したり、帰ってきた参加者の人同士がその場でいかに掘り下げて深い話し合いができるようにするかを意識していたので、そう言う意味で人との接し方はすごく勉強になりました。

それから、代表をやってからは特に、「人ってどうやったらやる気になるんだろう」という視点で全体の空気をメンバーの一員だったとき時よりももっと俯瞰的に見るようになりましたね。

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代表をやる上で、永田さんが特に意識していたことは何ですか?

できるだけ対面で話すことです。対面で話したほうがいいっていうのは、わかっていてもなかなかできないんですよね。時間も取るし、神経は遣うし、わたしも難しくてなかなかできていなかったんですが、何としてでもやんなきゃって思うようになったんです。


きっかけは?

2015年の4月以降に新しい運営メンバーがたくさん入ってきてくれて、みんなやる気はあったのに、その人の能力を思う存分発揮させられてあげられてないなって思ったんです。それで考えたんですが、結局「考えてもわかんないよな」って。人のことだし(笑)。だから「会おう!」って決めて、夏にメンバー全員とサシでご飯行きました。

そしたら、Youth for 3.11のメンバーの「Youthで活動しているときには見れない顔」も知ることができたんですよね。運営内が今どんな感じなのかもだいたい掴むことが出来ました。一回だけだとわかることはほんと少ないんですが、少なくともやらないよりはわかりました。

メンバーからしても「ちゃんと見てくれてるんだ」っていうのが少し伝わったらしく、その頃から少しずつ心を開いてくれたというか、自分が思っていることを言ってくれるようになりました。よくリーダーシップ系の自己啓発本等もありますが、そういう難しいことを堅苦しくやるより、まずは普通に人としてコミュニケーションをとればいいんだなって気づきました。前は変に先輩ぶっていたりすることがあったんですが、何だかそれって違うなって。いつまでも先輩ぶっていたら、下の子はやっぱり頼ってしまうし、なんだかんだ先輩がやってくれるだろうって思われがちなので、「できるだけ同じ目線でやろう」って。


全員とサシなんてすごいですね!

お財布はだいぶ寂しくなりましたが心は温まりました(笑)。

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2015年運営夏合宿にて

卒業にあたって


永田さん自身は卒業後、東北とどう関わって行きたいですか?

これまでと大きく変わらず、日常生活の中で自然に関わっていきたいですね。

食べることが大好きなので、例えばスーパーで石巻産のわかめを買ってみようとか、旅行先を岩手にしてみようとか。あとは、東京に友達がいて、行きたい場所があるのと同じで、東北にも会いたい人がいるし、見たい景色があるので、たまに足を運びたいなと思います。

Youthからは卒業しますが、活動を通して知った、東北のさまざまな素敵な景色や美味しい食べもの、そして温かい人との出会いは一生ものなので、これからも大事にしていきたいです。

そう言って美味しそうにサーモンサンドを食べる姿がすごく幸せそうです(笑)。

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最後に、活動を振り返って一言お願いします!

微力ながらも自分の住む社会に貢献することに携われたのは、本当に良い経験だったと思います。

Youthに入るまでは’与えられるだけ’のある意味受け身の姿勢だったけれど、Youthに入って初めて、自分が社会に対してどう役に立てるのかを真剣に考えることができました。真剣だった分、他人の立場や気持ちを考える努力をするようになったし、自分自身にもきちんと向き合うことができました。

関わってきたすべての人に感謝しています。

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永田さん、ありがとうございました!「メンバーと同じ目線で対話する」「日常生活の中で自然に東北と関わって行きたい」という言葉から、永田さんの飾らない姿勢を感じました。1年間の代表務め、おつかれさまでした!



インタビューア:清野友紀 編集:長瀧彩花

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