1.遠野物語と東日本大震災から考える幽霊のうわさ

立正大学で日本の伝承文学を研究なさっている三浦佑之先生に「東日本大震災と遠野」というテーマで、インタビューをしてきました!連載でお届けする第一回目は『遠野物語と東日本大震災から考える幽霊のうわさ』です。 2015.07.03

プロフィール

東日本大震災と遠野  vol.1

【三浦佑之(みうらすけゆき)】立正大学文学部文学科日本語日本文学専攻コース、また文学研究科国文学専攻(大学院)にて、古代文学、伝承文学を中心に研究している。 〇所属学会:古代文学会、日本口承文芸学会、説話・伝承学会 〇専門分野:日本古代文学、伝承文学 〇主要研究課題:古事記研究、伝承文学研究

【ライター自己紹介】
Youth for 3.11運営メンバー、広報担当の池田春奈です。
現在、立正大学文学部文学科日本語日本文学専攻コースに在学。震災当時、高校3年生になる直前だった私は、震災や復興へのもやもやした想いを抱きながら大学受験を経て立正大学へ入学。
入学したばかりの2012年4月に、三浦先生の講義で問われた課題は「震災当時のことを思い出して書いてください。」というものでした。以来、震災、東北、遠野、作品『遠野物語』に関連した先生の講義を受けてきたことを機に、今回さらに“震災と復興”にフォーカスしたインタビューをさせていただくこととなりました。


―本日はよろしくお願いいたします。

よろしくお願いします。

―2011年3月に東日本大震災が起こったときに、「幽霊が出たうわさ」が立ったというお話は、私にとって、とても印象に残っています。この、幽霊のうわさや幽霊譚(ゆうれいたん)とはどのようなものか、そしてその現象が起こることへの見解をお話しいただけますか。

3.11が起こって、たくさんの方がお亡くなりになりました。たくさんの方がなくなるのは、事件あるいは戦争だったら、もっとたくさんの人が亡くなってしまうこともあり、さまざまな場面があると思います。しかし僕たちも、あのような形であんなに大きな地震と津波が起こるなんて、思いもしていなかったですよね。被害の大きかった地域で、例えば、朝元気に「いってらっしゃい」って別れた家族がいた。そして、もう夕方になったら、誰かがいなくなっていて、自分だけが生きていた。そんな例が本当にたくさんありますよね。
現地の方々は、自然という脅威によって、突然生活を奪われて、家族だとか友人関係だとか、親戚だとか…そのような地域的なつながりを、一瞬のうちに奪われてしまった。そんなときに、当事者の方々は何を思うのだろうということを、だんだんと考えるようになりました。亡くなってしまった人の気持ちや想いは、もうわからない状況の中で、残された側の人たちの想いは時間がたつにつれて、とても強くなっていく。
「別れ」というものを考えたときに“生きている側が、死者のことをどう思うか”ということが、幽霊の存在と大きく関係してくるのだと思います。

遠野景色①

―この、“生きている側が、死者のことを思う”ことで起こる現象については、1910年に刊行された、柳田国男の「遠野物語」でも語られていましたよね。

遠野物語の99話では、福二さんという遠野から婿入りした男が、海岸の田の浜の女の人と結婚して、子どももできて、幸せに暮らしていました。突然そのとき、津波にあって、自分と子どもの一人が生き残り、女房と他の子どもは亡くなってしまった。そのとき、福二さんの中には、死んでしまった女房や子どもに対する“想い”というものが、とても強くある。そしてその思いによって、女房が自分と結婚する前に心を通わせていたという噂のあった男と歩いているという、亡霊というか幻というか幽霊というか…その姿を目にすることになる。
それは、恨みなどという問題ではなく、生きている福二さんの思いの中に、妻に対して「どのような形であっても生きていてくれればいいなぁ…」という、素直な思いがあるからではないかと考えることができます。
これは、東日本大震災で被害に遭われた方にも言えることで、残された者が、「どのように理不尽な体験を乗り越えられるか」とか、「突然の出来事を乗り越えられるか」とか、あるいは「事件や死者との関係に、いかに折り合いをつけるか」ということが、ひょっとしたら幽霊に会うとか、亡霊に会うという現象につながっているのではないかと思います。
どこかで家族が亡くなっていたり、友達がいなくなったりしている人の中で、まだ見つからない状況では、どうしてもふっ切れない想いや、わだかまりが消えないままなのではなかろうかと思います。幽霊譚というのは、ただお化けが怖いとか、魂の有無ということ以上に、亡くなってしまった人に対する、生きた人間、生きている側、残された側の“想い”みたいなものが、どのようにあらわれてくるか、ということではないかと感じましたね。


「生きているからこそ“想い”が抱ける。」

当たり前のことですが、今まで考えたことがないようなお話をしてくださいました。
今一度、家族や友達、東北の方々への自分の“想い”を考えてみてはいかがでしょうか?

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