2.「津波てんでんこ」を考える

立正大学で日本の伝承文学を研究なさっている三浦佑之教授へ「東日本大震災と遠野」というテーマで、インタビューをしてきました!連載でお届けする第二回目は『津波てんでんこを考える』です。 2015.07.02

プロフィール

東日本大震災と遠野 vol.2

【三浦佑之(みうらすけゆき)】立正大学文学部文学科日本語日本文学専攻コース、また文学研究科国文学専攻(大学院)にて、古代文学、伝承文学を中心に研究している。 〇所属学会:古代文学会、日本口承文芸学会、説話・伝承学会 〇専門分野:日本古代文学、伝承文学 〇主要研究課題:古事記研究、伝承文学研究

―震災が起こり、よく聞かれるようになった「津波てんでんこ」という言葉。「個々が自らの命を自分で守るということ」だと捉えられています。これは2011年になって出できたものではなく、ずっと昔から言い伝えられてきたものですよね。

 

三浦:「てんでに逃げる」っていうのは、おそらく勝手に逃げるとか、人を押しのけて逃げるとか、決してそういう意味ではないですよね。
人に惑わされずに「自分がまず逃げる」ということを考えなきゃいけないというのは、その通りです。しかし、みんなで普段からしっかりと訓練をしていて、どこへ逃げなきゃいけないか、どのように素早く行動すべきか、ということを、いつも意識しているからこそ、言えることではないかと思います。みんなが勝手に、てんでんこに逃げたって、きちんと同じ行動がとれる…そういうことだと思う。
山下文男さんが、この本『津波てんでんこ』でおっしゃっているのは、きちんと津波の対策をして、みんなでちゃんと訓練をして、いつも津波の恐ろしさを伝え合って、素早い行動をとらなきゃいけませんよ、ということを言っているのだろうと思います。
個人個人で勝手に逃げるっていうことでは決してない。山下さんは、国が義務教育の中できっちりと、そのような訓練をしなければいけないと考えていらっしゃいます。それをもとにして、地域の活動を作ったりして、普段から組織化しておきましょう、ということだと思います。
よく普段からの訓練と自覚って言いますよね。東京だって、いつ津波が来るかわかりません。実は五反田周辺の海抜は、およそ3メートルしかないんです。

 

今出:えっ!

 

目黒川
(春の目黒川はお花見スポットとしても有名)

三浦:建物の下へ降りたら、ひとたまりもないです。しかし、「津波が東京湾に入ってきたら…」なんてことを、普段は全然自覚せずに、駅の界隈を歩いていますよね。地下鉄に乗ることもそうです。もしものとき、どうなるのかを考えられるかどうかという、想像力の問題のような気もしますね。

―そんな「てんでんこ」の文化のある東北ですが、震災時から現在までの地域ごとの協力性はとても強いものであると、さまざまなメディアで取り上げられています。遠野や東北に長くかかわっていらっしゃる先生は、今回どのように感じましたか。

三浦:とにかくその日から動き出したのは遠野市が最初ですね。その中でも、一番象徴的なのは、3月11日から29日間で14万2400個のおにぎりを作ったという事実。みんなおにぎりを握って、熱くて指紋がなくなっちゃったという・・・

今出:わぁ・・・

三浦:ここ、つまり遠野でこんなに揺れたから、海側はもっとひどく、津波も来ている。とんでもないことが起こっている。そうみんなが感じました。
事実、津波の詳細な情報も伝わってきていました。
そんなとき、すぐに動き出せるためのつながり方が普段からできていないといけないんだな、ということを遠野という土地に関わっていて思いました。
それが役所だけでなくて、地域のボランティアの人たちが中心に行われている。特に遠野まごころネットの方々がものすごく積極的に動きましたよね。それも誰かが言い出したのではなくてね。

池田:自然と・・・?

三浦:そう、自然とみんながそうしなきゃいけないって動いていた。
震災後の数か月間は、市役所の職員が市民のための仕事を何もしていなかったみたいですね。三陸沿岸の支援で、ボランティア関連の仕事ばかりして・・・それで市民の人が何も怒らなかったっていうのが、僕はすごいと思う。
市役所の人たちに聞いても、そんな批判的な声は聞いたことがないって言うんです。

今出:すごいですね。

三浦:だからそんな風に、援助するのは当然のことだ、という思いで「やってあげる」のではなくて「当然やらなければいけない」そう思える感覚が必要ですよね。
こういうネットワークづくりが、多くの地域ではほとんどできていないと思います。でもそのために、誰かが声をあげて作ったって駄目で、自然にそういう思いや感覚が育まれていないといけないのだな、ということを考えさせられました。


ボランティアをするという感覚ではなく、当たり前のように手伝うことが自然にできる環境って素敵ですね。
次回の連載は7月ごろを予定しています。この期間に、遠野、東北へ足を運んでみてはいかがでしょうか?

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