目に見える効果よりも、 「少しでも頑張れるようにそばにいること」

もともとは発展途上国の国際協力の分野で活動されていた公益社団法人、NICCO(日本国際民間協力会)。 震災をきっかけに東北での活動に力を注いできましたが、2014年9月をもって現地事務所は撤退、以後後は京都本部、東京事務所から引き続き現地を支援をされることになりました。 その理由と、3年間国内で震災ボランティアの方々を見てきて思う事、そして「社会貢献を仕事にする」個人的な経験をお話頂きました。 2014.06.07

プロフィール

公益社団法人 NICCO

吉田真由美さん(写真左):陸前高田市出身。NICCO東北事務所長 大場寛之さん'写真右): NICCO東北事務所 現地担当者 吉田明男(文中):震災をきっかけにNICCOに勤務。 現地コーディネーター

語られなかったペストコントロール

 

NICCOさんはもともとどこの地域から始まったんですか?

吉田真由美さん:カンボジアです。今から35年ほど前、京都の町にカンボジア難民を助けたいと願うカンボジアからの留学生がいて、その学生を助けたいという友人たちや他の学生、主婦たちが力を合わせて京の街角で募金を集め、タイ国境の近くにいるカンボジア難民たちに届けました。避難民の支援から農村開発をはじめて、東南アジアからアフガニスタン、イランなどの中東、そしてアフリカに広がり・・・という感じです。

世界各国の知識は東北にどう生かされたと思いますか?

吉田真由美さん:災害時の緊急支援は途上国で多くの実績があるので…あちこちからやってくる物資を受けて適正な基準をもって配布するなどのノウハウは役立ちますし、それぞれの災害においてニーズがちがうので、そのニーズを特定していく判断ですかね。

NICCOは震災が起こってから2時間で支援に入ることを決めて、まずは宮城県名取市で、もともと協力関係にあった桑山医師と協力して医療支援を開始しました。中東で勤務していた私も、一時帰国していたため、陸前高田に家族の安否を確認に行きました…水で分断されて最初入れなかったんですが、道路が開通した日に陸前高田市に入り、避難所でニーズ調査をして、物資配布等を始めました。モバイルクリニックの提供、がれき撤去やペストコントロールなど、数々の事業を実施しました

吉田明男さん:その中でもっとメディアに取り上げられるべきだと感じたのはペストコントロールです。つまり、害虫駆除のこと。五月以降からハエが大量発生し始め、がれきの中に残った3~4階の建物の壁面が真っ黒なんですよ。NICCOと日本ペストコントロール協会が協力してがれきの山の中での駆除作用を開始したんですけど、市民や行政、マスコミもなかなかその作業を見られない。本当に重要な作業で、ハエと蚊の駆除のおかげで伝染病や感染病が起きなかったんだと思っています。環境大臣からはNICCOに対して感謝状をいただきました。
ジンバエとかすごかったんですよね。加工場とかすごかったんですよ。それが語られないっていうのが悔しいの。個人的にはね。(笑)

吉田真由美さん:そういう感じで高田に入って、そのあと気仙沼や、宮城県の南部沿岸まで活動を展開しました。…今は気仙沼事務所を中心に事業を実施しています。

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【写真】参加してきた学生を見守り続けた吉田明男さん

 

みんなボランティアの姿を見ながらありがとう、ごくろうさんって思ってるんです

 

最近だとどれだけ貢献できたか目に見えないというフェーズに来ている分、謙虚である程力になれているのか分からないですよね。

自分のやることが復興にどうつながるのかイメージできないというか、「ニーズは何か」の答えを探している人が多いと思います

吉田真由美さん:目に見える結果や効果を求めるとそうかもしれません。支援団体も色々な活動をしていますが、ダイレクトに明瞭な効果をだせる事をやっている所って少ないと思うんです。建物を建てるとかは分かりやすいですね。例えば私たちがやっている漁業支援もちょこっと釣っている人から買おうとすることで、零細漁師が海に戻るように支援する。そうやって漁業の文化を守るってことなんです。大きな復興の取組みの中では確かにその一部に過ぎず、その意義をどう評価するのかは難しいですが、確実に効果を体感することは可能です。

仮設住宅への学生ボランティアの派遣にも、もちろん意義はあります。今後の地域の再建を担っていく仮設の住民が元気にならなければ、どんなに新しいものを建設しても意味がないんです。ちょっとでも長く頑張れるようにそばにいてあげて、生きる事の楽しさを感じてもらえるように心を通わせることが大事なんです。その大事さを実際に来たボランティアさんで感じる人も感じないひとも いると思うんです。感じた人が伝えていかないと。白黒で説明できないけど大事な役割を果たしていると思いますよ。

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【写真】NICCOプログラムで活動したYouthメンバー

 

吉田明男さん:こっちの人は、ボランティアの方々からすると、この通りずうずう弁(東北弁)で何話してるかわかんないでしょ?(笑)だからなかなか声かけられないんですよ。みんな遠くからボランティアの姿を見ながら、ありがとう、ごくろうさんって思ってるんです。全国からきてボランティアしてくれる姿を見てるだけで元気になれる。それが大半の意見なんですよ。綺麗になってくると確かに成果が見えないんですよね。でも釘一本拾ってくれただけで、将来に渡って怪我をしないで済む。今日一日の成果が見えないって悩んでる学生さんも多いけどそれだけでありがたいんです

僕らが言う言葉の重みと違うのでありがたいです。

吉田真由美さん:個人差はありますが感謝してない人はいないと思います。学生でも大人でも子供でも、人が出入りして交流が生まれて、都会の人も他の地方の人もこっちをみるようになる。この地の人たちも外を見るようになる。その効果って大きいんですよ。それはすごく大事なことですし、東北の多くの被災者もそう思っています。

現地事務所撤退を決められたのはいつごろですか?

吉田真由美さん:東北支援に入った時点で、およそ2年で撤退ではないかとNICCOは考えていたと思います。神戸の震災後の復興の様子から、また途上国での経験もありますから。自立できるまでを可能な限りサポートし、現地に移管して撤退するというのが当会の基本方針です。世界各地で色んなことが起こっているから、世界的に見て、誰がよりNICCOの支援を必要しているか考え、限られたリソースを踏まえて判断をしなければなりません

海外での勤務から、東北に来ることになってどうでしたか?

吉田真由美さん:震災当時は中東へ赴任していましたが、たまたま一時帰国中に地元でこういうことになったので、戻りたいという気持ちがあって志望しました。

大場さん:私が勤務を開始した時、NICCOは既に東北で活動していました。赴任当初は農業復興支援プロジェクトの担当だったんですが、それが完了した後も東北での活動が終了するまでは気仙沼にいることを希望しました。そのきっかけは、こちらで出会った方々と一緒に活動したり話をしたりするうちに、担当業務の大切さややりがいを実感する事ができたからです。YF3のボランティアさんで、ここに来ることの意味を悩んだままで来る学生も多いのですが、彼らと話をしながら、改めて自分もここにいたいなと気づかされる事もありました。

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【写真】Youthの学生が関わり続けた畑で収穫できたお米を使ったイベントの模様

 

この仕事の魅力は自分の人生や価値観と仕事が直結していること

そもそもNICCOさんに入ったきっかけを聞きたいです

吉田真由美さん:私は10年くらいサラリーマンをやっていて、でももともと貧困や紛争で悩む人たちを助ける仕事をしたいと思っていて。NGOでの経験もなかったし、多くのNGOは途上国での経験を求めるんですが、NICCOの場合は判断基準が少し違いました。よって、NICCOで勤務することになったのは、とてもいい意味での偶然です。ずっと踏み出せなかったんですけど、素晴らしい経験をする機会をいただきました

こういう団体で働いていて、やっていて楽しいと感じたり大変だと思うときはありますか?

吉田真由美さん: 今まで私が見てきた中では、NGOは待遇面が厳しく、組織の管理体制が整っていないケースも多いので、自分の仕事に確固とした信念を持つ事が大事だと思います。面白い所は、企業等と比べると、目的を達成するために割合自由な発想で事業を展開できる所でしょうか。それと、この仕事の魅力は、自分の人生や価値観と仕事が直結していることです。それぞれ課題を抱えている人たちを助けたいという思いで仕事をしているので、常に「仕事」について考えていて、生活の一部になってしまいます。これを仕事だからとストレスに感じることもありません。

吉田明男さん:これだけボランティアの方々が来てくれる。こんなに来てくれる事に圧倒されて、もうびっくりです。3年しかこういうことしてないけど、こんな世界があったんだって目から鱗ね。避難所でボランティアしてたんですよ。そこでたまたま見つけたのがNICCOだったんです。陸前高田市では病院も被災しましたから、医師と看護師を乗せて避難所へ訪問医療に回ることから始まりました。そして避難所生活改善のための発電機、洗濯機等々の物資を配達したり、炊き出ししたりと、多岐にわたりました。

こどもの日、避難所の子どもにハンバーグを食べてもらいたくて材料を捜すのに苦労しました。でも子どもたちの笑顔が忘れられません。過去62年はなんだったんだろうって感じです。でもこんな世界もあるんだなって。こうやってNICCOで東北の復興支援活動をしてきた人が現在ヨルダン等でまた活動してます。本当にすごい活動をしているなと思います。

僕も是非行ってみたいですけどこんなずうずう弁しゃべっているようじゃできないかなぁと思っています。(笑)

 


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ライター:宮木志穂

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